Case Study

初めての営業赤字。
住宅会社がSalesforceを使った組織改革で
営業成績145%を実現するまで
九州エリアで注文住宅事業を展開する悠悠ホーム株式会社。1994年の設立以来、福岡・佐賀・熊本を中心に約5000棟の住宅を建築し、人々の暮らしを支えてきました。
これまで17年間連続で事業を伸ばしてきた一方で、その営業スタイルは属人的なもの。全体売上が一部のトップセールスに依存してしまい、セールス手法として再現性がないことや、インサイドセールスとの連携が取れていないことが大きな課題でした。
株式会社C・S・Dでは、Salesforceを中心に悠悠ホームの営業組織を抜本的に改革し、データドリブンな営業マネジメントへの転換を支援。4ヶ月間で受注率120%増、契約件数145%増という成果を実現いたしました。今回はその改革の軌跡をご紹介します。
個人に依存した組織体制に課題。
初めての営業赤字を記録
―― まずはじめに、御社が当時抱えていた課題について教えてください。
内山氏:営業の根本的な部分でさまざまな課題を抱えていました。営業手法から業務設計、評価制度、マネジメント機能まで、広範囲に課題が散在している状況でした。
北島氏:そのなかでも最大の課題は売上の伸び悩みです。特に、当社の主幹事業である注文住宅事業において、競合他社との比較分析を行った結果、集客に対する成約率が業界平均を下回っていることが判明しました。
さらに、当社ではこれまで約17年間増収増益を続け、24期には最高売上を達成していたものの、28期には初めて営業赤字を計上する事態となりました。

―― なぜ売上が伸び悩んでいたのでしょうか。
北島氏:営業赤字の要因は、個人の成功体験に依存した組織体制です。案件管理から営業に至るまでが属人化され、言葉を選ばずに言えば「行き当たりばったり」の営業スタイルだったんです。そのため、全体の売上もベテラン営業の売上に依存している状況で…。
市場理解、顧客理解、そして商品理解。どれも水準は高いはずなのに、ノウハウが言語化されていないがゆえに再現性がないんです。文化的にもフィーリングや感覚値を重視しているというか。
満嶋氏:さらに、個人で数字を作るのが当然とされていたので、マーケティング、インサイドセールス、セールス、DXなど、部門間の連携も取れていませんでしたね。組織的な営業力の向上を図るべくSalesforceも導入しましたがうまく活用できていなくて。
営業を可視化することができなかったこともあり、月末の着地予測と実績のブレが大きく、受注予測の精度の低さにも課題がありました。
―― そんな中で、C・S・Dに依頼した決め手は何でしたか?
北島氏:別にお付き合いをしていたマーケティングコンサル会社からの紹介で知り合い、その経由で一緒に仕事をすることになりました。現状、そのコンサル会社様とは契約を終了しましたが、組織的に成果が出せる営業組織を創るにあたって、そのお手伝いをお願いしたいと思いました。
佐久間氏:これは私がご依頼させていただいたようなものですね。代表の杉﨑さんとは以前から個別にご相談させていただいており、Salesforceマネジメントについてご助言をいただいていたんです。営業部部長になったタイミングで、杉﨑さんなら私たちの組織に合わせた活用法をご提案してくださると思い、本格的にお願いしようと思いました。
内山氏:私も、以前から杉﨑さんの営業マネジメントの考え方について、非常に勉強になると感じていました。特に業務設計の部分では、「ここまでやるのか」と驚くような徹底的なアプローチが印象的でしたね。
北島氏:もちろん、最初は外部を入れることに対して社内の反発もありました。でも、C・S・Dは本質的な課題を見極め、それに向き合う姿勢を持っていると強く感じて。
私たちが示す課題に対して「それは本当の課題ですか?」と何度も問いを立てていただいたことで、より深い視点で物事を捉えようとする姿に感銘を受け、ご依頼するに至りました。

Salesforceを中心に、
営業プロセスの再設計と組織体制の変革を実行
―― C・S・Dの具体的な支援内容について、詳しくお聞かせください。
佐久間氏:営業プロセスを最適化するにあたり、Salesforceとインサイドセールスを連携してリード顧客のデータをSalesforceに流し、インサイドからの送客を最大化することから着手していただきました。
そのなかで、送客数は伸びたものの、売上に繋がらないという課題が。そこで、案件進捗の可視化システムの構築をするべく、営業部とも連携して受注までのフェーズを一つひとつ深掘りしていただきました。
満嶋氏:どのフェーズに行けば契約率が上がるのか、どのタイミングで何を押さえる必要があるのか、受注までのステップの組み立て方が非常に的確だったと感じます。
これまでの営業フローは抽象度高く管理されていて、たとえば、当時は「OKSMAP(※)を確認」という項目のなかには、クリアすべき項目が5つほどある状態でした。それを細分化して具体的なアクションに落ちるように再設計し、誰が見ても進捗がわかるように整えていただきました。
※決済者=親(O)、競合他社(K)、スケジュール(S)、予算=金(M)、建築希望エリア(A)、住宅の設計・デザインや間取りなどのプラン(P)の営業時に押さえておく6つのポイントを示したもの
北島氏:案件管理システムを構築するプロセスのなかで、トッププレイヤーの暗黙知を明文化し、再現性のある形にしていったのも大きいですね。
これは社内で言語化していくのはかなり厳しかったなと。トッププレーヤーは営業センスが高いぶん、自分の仕事を客観視しづらいんです。無意識にやっているからこそ、感覚的なものになってしまう。さらに、各々のマインドや営業方法には、微妙なズレがあります。
そのズレを調整するためには、それぞれがこだわっているものに対して口を出すという、摩擦を起こさなくてはいけない。内部だけでやるにはかなりエネルギーのいることなので、C・S・Dの介入によってスムーズに進められたことに本当に感謝しています。
満嶋氏:組織体制の変革では、これまでのプレイングマネージャー制から、マネージャーとプレイヤーの役割を明確に分離する体制へと移行しました。プレイングマネージャーだと自分の数字も追わなければならず、部下の育成や教育にまで手が回っていない状況だったんです。
体制変更に伴い、プレイングマネージャーからマネージャーとなった人が活躍できるよう、C・S・Dにはマネジメント研修を実施していただいています。

―― これまで主に数字を作っていた方たちをマネージャーに、というのは大きな決断だったかと思います。意思決定にはどのような背景があるのでしょうか。
満嶋氏:Salesforceが整備されたからこそ踏み切れたと思います。マネジメントの型ができて、管理するためのツールが整い、各々の役割が明確化して連携できるような状態ができたことで、必要なピースが揃ったと感じます。「プレイヤーの力を自分1人ではなくチームに注いだ方が絶対に売上が上がる」という杉﨑さんの言葉も踏まえての決断でした。
また、経済的なメリットを含めてマネージャー職を選んでいただきたいと考えていたので、併せて評価制度の見直しも行いました。この設計も杉﨑さんにお手伝いいただきましたね。
佐久間氏:今営業部では週次でマーケティング、インサイドセールス、セールス、DXの各責任者とのミーティングを行っているのですが、この取り組みによって横の業務理解が深まったと感じています。
杉﨑さんにはSalesforceのデータを使って課題を洗い出し、解決策までご提案いただいています。現場にいる僕らですら気づかないところを、データだけですべて読み取って共有してくれて、その精度の高さには毎週驚かされますね。
今は拠点ごとの支援もお願いしていて、各拠点の状況に応じた具体的な施策立案をしていただいています。
内山氏:コンサルティング会社にありがちな小手先の手法ではなく、本質的なルートで改革を進めてくれたと感じます。感覚値で進めていた部分を、しっかりとした仕組みとして構築してくれたことで、属人的な営業に頼らず、再現性を持って仕事を進められるようになりました。

受注棟数が120%(売上145%)増。
トップセールスに頼らない営業組織へ
―― C・S・Dの支援によって、得られた成果を教えてください。
内山氏:マーケット全体が前年比88%程度まで縮小するなかで、既存社員の受注棟数が120%(売上ベースで145%)達成することができたのが1番の成果ですね。
さらに、今まで一部のトップセールスが売上を上げてきてなかで、営業42人中33人が前年比業績アップし、営業組織として強くなりました。今まで成果が出ていなかった人たちが、お客様からご成約いただける状態になったんです。
ほかにも、単価が180万円アップ、値引き率も3分の1以下、リードタイミングが40%圧縮するなど、業績が着実に上がっているのが数字でわかります。業績が上がると会社の雰囲気が良くなり、それがまた大きな業績向上につながるようなサイクルができていますね。
満嶋氏:それに大きく寄与しているのが、Salesforceの活用によって受注の読みが当たるようになったことですね。案件を細かく管理しながら成約までの進捗を出せるようになったので、高い精度で予測が可能になりました。
注文住宅は受注単価が高い一方で、受注から売上まで8ヶ月ほどかかるので、読みを外すと思い切った投資をするのが難しいんですよ。10件ズレただけで4億円以上変わってくるので、予測精度が上がったことで先を見越した計画が組めるようになったことは大きいです。
調子が悪い場合も前倒しで議論ができるので、先に手が打てるようになりました。集客が落ち込んだとき、マーケ部門と連携してキャンペーンを打つ動きができるようになったのも、データドリブンな営業組織になったからこそだと感じますね。
佐久間氏:現場の話でいくと、もっとも大きな変化は会議体の質の向上です。単なる報告会から、具体的なアクションプランを議論する場に変わりました。数字の読みのブレに対しても、これまで対処療法的にやっていたことが、予防的なアプローチに変化してきています。
最初はSalesforceの更新漏れや入力ミスなど、データの整合性の話をしていたところから、今は失注要因は何なのか、フェーズが下がった理由は何なのか、原因を見極めてチェックポイントとして追加すべき項目を議論できるようになりました。

―― 組織では、プレイングマネージャー制を廃止したことが大きな変革でしたが、実際の反応はいかがでしたか?
満嶋氏:分業化したことで「個人で点を競い合う」から「チームで売上を上げていく」へ意識が変化していったように感じます。
内山氏:マネージャーの発言の質が変わりましたね。本当に会社や業績を良くしようとする意思を感じますし、主体的に行動に移せているように思えます。
北島氏:もちろん、全員が一気に変わるかと言われればそうではない。タイムラグが発生するなかで、とにかくトップから意識改革し、背中を見せることで浸透させ、あとはとにかく1on1を重ねて丁寧にコミュニケーションを取ることを順序立ててやっていきました。その結果、マネージャーになる側もプレイヤーとしてマネジメントを受ける側も、双方が変革の必要性を理解し、変わっていったと感じます。
佐久間氏:杉﨑さんがマネージャー一人ひとりの特性を把握し、信頼関係を築いていたことも大きいですね。これまでさまざまな営業コンサルを入れてきたなかで、マネージャー全員としっかりコミュニケーションを取ったのは杉崎さんが初めてです。
住宅業界出身でないにも関わらず、Salesforceだけで受注の読みのブレを解消したことで、「データは嘘を吐かない」ことを証明したことも、意識改革の要因になったと思います。
本質的な課題にアプローチする
「営業の仕組みづくり」や「業務マネジメント強化」、
「営業DX支援」がC・S・Dの強み
―― C・S・Dの支援を他社にお勧めするとしたら、どのような点を挙げられますか?
佐久間氏:「気合、根性、経験、感情」の4Kだけでは読みがブレない組織形成は絶対に無理だと思います。数字はすべての根拠となるものなので、今の時流に合うマネジメントと出会える会社だと思います。まさに「営業DXマネジメント」ですね。
北島氏:自分たちの課題発見を正しく行いたい方にオススメです。おそらく顕在化している課題について話しても、杉﨑さんは信用してくれないので…(笑)。本当の課題を見つけ、対応策をきちんと実行できる会社なんです。すごく良い関係性とちょうど良い距離感で介入してくれると思いますよ。
満嶋氏:一つひとつの案件を徹底的に深掘りし、表面的な回答では済ませない点ですね。その執念とも言える姿勢が、組織全体の変革につながったと思います。うまくいってないところを、徹底的にうまくいかせようとするんですよ。数字や進捗させることへの執着が本当にすごくて勉強になります。
正直、同じ業界の方にはオススメしたくないのが本音ですね(笑)。同業種の友人は多くいますが、杉﨑さんの話をしたくないですから。
内山氏:本当に。真正面からぶつかったり、正々堂々と従業員を評価したり、筋を通して話をしてくれるのもすごく信頼ができます。施策を考えるだけでなく、実際に手も動かしてもらえるところも他のコンサルティング会社とは違うところですね。

―― 最後に、今後の展望についてお聞かせください。
佐久間氏:今までの成果に満足することなく、さらなる進化を目指していきたいと考えています。C・S・Dには引き続き、私たち営業組織の伴走者として支援をお願いしたいです。
北島氏:今後は準レギュラーのパートナーとして、より深い関係性を築いていきたいと考えています。単なるコンサルティング以上の、企業理念を共有できるパートナーとして、共に成長していける関係を目指しています。
満嶋氏:案件数の増加と案件化率の向上が次の課題です。受注率は大きく改善していますので、次のステップとして案件数の拡大に注力していきたいですね。
内山氏:今後は年商200-300億円規模を目指し、グループ会社10社体制の実現や、ストックビジネスの強化を進めていきたいと考えています。現在の月間30棟から40棟への販売数拡大を目指し、さらなる成長を計画しています。C・S・Dには引き続き重要なパートナーとして支援いただきたいです。

企業名:悠悠ホーム株式会社
事業内容:住宅建設・販売 / 不動産売買及び賃貸 / リフォーム事業 / 集合住宅建築 / エネルギー事業 / 保険事業 / フィナンシャル事業
取材対象者:
・代表取締役社長 内山賢一氏
・取締役副社長 イノベーティブ住宅事業部部長 満嶋稔夫氏
・執行役 経営戦略室室長 DX部部長 北島靖隆氏
・注文住宅営業部部長 佐久間大悟氏
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