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SalesforceやHubSpotを導入したのに営業改善ができない理由

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株式会社C・S・D(Customer Success Driven)の代表取締役を務めております杉﨑と申します。当社は、年商20億円から300億円規模の日本企業に対して、営業プロセスの設計とSFA/CRM活用を通じた営業組織改革を支援する専門コンサルティング会社です。

これまでマイナビ、DeNA、ユーザベースといった企業で営業・カスタマーサクセス領域に携わり、300社以上の企業様の営業改革をご支援してまいりました。特に、SalesforceやHubSpotなどのSFA(Sales Force Automation:営業支援システム)を導入したものの成果につながらず悩んでいる企業様から、数多くのご相談をいただいています。

そうした企業様とお話しする中で、ある共通の課題が見えてきました。本記事では、その課題の構造と解決の方向性について、お伝えしたいと思います。

SFAを導入して、営業プロセスは整備した。しかし営業改善が進まない

「Salesforceを導入したのですが、入口(商談数)と出口(契約金額や契約件数)しかわからず、何が問題かが特定できないのです。おかげで有効な改善策が見えず困っています」

実際に私が企業様から相談を受ける際に、よくお伺いする内容です。SalesforceやHubSpotなどのSFAを導入する企業経営者や営業責任者とお話をする中で、この言葉が繰り返し出てきます。そして、私はこう答えます。「SFAを有効活用するためには、自社の営業プロセスの設計を事前に検証し、有効性を確かめておく必要があります」と。
すると、ほぼ例外なく返ってくる反応があります。

「それは自分たちですでに理解していて、SFAにも必要なデータは入っています」

この答えを聞くたび、私は一つの認識のズレが生じていることを感じていました。しかし、ある企業様との対話の中で、その正体がはっきりと見えた瞬間がありました。「なるほど、前提条件となる情報が誤っていたのか」と。

企業経営者や営業責任者の皆様がおっしゃっている「営業プロセス」とは、商談をして、追客をして、見積もりを出して――という一般的な営業活動のステップを指していました。しかし、私が「営業プロセスの設計」と言っているのは、営業活動を標準化することではありません。営業活動によって顧客の状態変化を可視化するためのカスタマージャーニーの設計と、それに紐づく顧客との商談状況のプロセス設計を指しています。

この違いが理解されないままでは、いくらSFAにデータを入れても、組織として学習し改善することはできません。では、なぜこの認識のズレが生まれ、なぜそれが放置され続けるのでしょうか。

「商談」「提案」「見積提示」というステータス管理の限界

「営業プロセスは整備されている」と考えている企業の多くは、SFAの中に「商談」「提案」「見積提示」「契約」といったステータスを設定しています。営業担当者はそれぞれの段階に進んだタイミングで、ステータスを更新します。マネジメント層は週次や月次の会議で、各ステータスごとの案件数を確認し、進捗を議論します。

一見、これは正しい運用に見えます。しかし、ここには決定的な視点が欠けています。それは、顧客が今どのような状態にあるのかという視点です。

「商談中」というステータスは、営業担当者が顧客と接触している事実を表しているに過ぎません。顧客が自社の課題を認識しているのか、解決策を探している段階なのか、それとも複数の選択肢を比較検討している段階なのか――そうした顧客側の購買プロセスの進行度合いは、まったく見えていないのです。

結果として、SFAには「営業担当者が何をしたか」という情報は蓄積されますが、「顧客がどう変化したか」という情報は蓄積されません。これでは、どこに改善の余地があるのかを見極めることはできません。

Gemini_Generated_Image_d012qed012qed012活動の状況は分かるが、要因がわからず、どのように改善すればよいか分析が不可能

なぜ「営業活動」と「顧客の状態変化」を混同してしまうのか

なぜ、多くの企業が「営業活動のステップ」と「顧客の状態変化」を混同してしまうのでしょうか。その背景には、明確な構造的理由があります。

まず、過去の成功体験が営業活動中心の思考を形成していることです。数十億から数百億程度の事業規模まで成長してきた企業の多くは、技術力やブランド力、あるいは法改正などの外部要因によって「顧客が向こうからやってくる」時代を経験しています。この時期には、営業担当者が商談し、提案し、見積もりを出せば、ある程度の確率で受注できました。

つまり、営業活動そのものが成果に直結していたため、「訪問回数」や「提案件数」といった活動量を管理することが合理的でした。そして、その思考様式が今も残っています。

しかし、市場が成熟し競合が増えた今、顧客は複数の選択肢を慎重に比較します。購買プロセスは長期化し、複雑化しました。にもかかわらず、組織は相変わらず「営業担当者が何をしたか」だけを記録し続けています。

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市場の成熟や商品のコモディティ化により、顧客の購買プロセスは複雑化・長期化している

もう一つの理由は、顧客の状態変化を捉える概念が存在しないことです。カスタマージャーニーやバイヤーズジャーニーといった言葉は知っていても、それを自社の営業プロセス設計に組み込んでいる企業は少ないのです。結果として、SFAの設計段階から「営業活動のステップ」だけが定義され、顧客視点が抜け落ちてしまいます。

さらに深刻なのは、ITツールやAIを導入すれば自動的に成果が出ると期待してしまうことです。しかし、ITツールやAIは、本来業務効率を高めるための道具です。正しい営業プロセスが定まっていない状態で導入しても、効率化すべきポイントが誤っていたり、そもそも効率化できる土台が存在しなかったりします。10を100倍すれば1,000になりますが、1を100倍にしても100にしかなりません。

SFAに「何を記録すべきか」が定義されていない

ここまで読んで、「では、顧客の状態を記録させればいいのでは」と考える方もいるかもしれません。しかし、問題の本質はそこではありません。

本当の問題は、顧客がどのような段階を経て購買に至るのか、その道筋が言語化されていないことにあります。

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意外と見落とされがちな顧客購買ステップ

たとえば、顧客は最初に「現状に対する漠然とした不満」を感じている段階があります。次に「課題が具体化され、解決策を探し始める」段階があります。そして「複数の選択肢を比較検討し、自社にとって最適なものを選ぶ」段階があります――このような顧客の心理的・行動的な変化を、営業組織として理解し、定義しているでしょうか。

多くの企業では、この定義が存在しません。だからこそ、営業担当者は「商談をした」という事実しか記録できず、マネジメント層も「商談数」という数字しか見ることができないのです。顧客が今どの段階にいて、次に何をすれば前に進むのか――その判断材料が、組織の中に蓄積されません。

つまり、問題はSFAの使い方でも入力精度でもなく、SFAに何を記録すべきかが定義されていないことにあります。そして、その定義がないということは、再現性のある営業手法が存在しないことを意味します。

顧客の購買プロセスを起点に営業プロセスを設計する

この状況を打開するために必要なのは、顧客の購買プロセスを起点に営業プロセスを設計するという考え方です。

購買プロセスをベースとしたフェーズ設計

顧客の購買プロセスを起点に、営業フェーズとステータスを設計。顧客の状態変化が可視化され、次に何をすべきかが明確になる

まず、自社の顧客が購買に至るまでにどのような段階を経るのかを明確にします。それがカスタマージャーニーの設計です。次に、それぞれの段階で顧客がどのような情報を必要とし、どのような判断をするのかを理解します。そのうえで、営業担当者が各段階でどのような活動を行い、どのような情報を取得すべきかを定義します。
たとえば、顧客が「課題を認識している段階」にいるなら、営業担当者がすべきことは製品の機能説明ではなく、課題の深掘りです。顧客が「複数の選択肢を比較している段階」にいるなら、競合との差別化ポイントを明確に伝える必要があります。このように、顧客の状態に応じた営業活動を定義することで、初めて「何をすれば商談が前に進むのか」が見えてきます。
そして、この設計に基づいてSFAに情報を記録することで、はじめてデータに価値が出ます。どの段階で商談が止まりやすいのか、どのような情報提供が顧客の意思決定を後押しするのか――そうした知見が組織に蓄積され、改善のサイクルが回り始めます。

カスタマージャーニーを「描いただけ」で終わる組織

ここまで理解できても、実行段階で多くの企業が躓きます。典型的な失敗パターンを挙げてみましょう。

一つは、カスタマージャーニーを描いただけで満足してしまうケースです。顧客の購買プロセスを図にまとめ、資料として作成して終わり。実際の営業活動やSFAの設計に落とし込む作業が行われず、結局は「作っただけの資料」になってしまいます。

もう一つは、理想的すぎるプロセスを設計してしまうケースです。すべての顧客タイプ、すべての商材に対応できる完璧なプロセスを作ろうとして、複雑化しすぎて現場が使えなくなります。あるいは、細かすぎる情報を記録させようとして、営業担当者が疲弊してしまいます。

そして最も多いのが、経営層や営業企画だけで設計を進めてしまうケースです。現場の営業担当者が実際にどのように顧客と対話しているのか、どこで躓いているのかを把握しないまま設計を進めても、それは机上の空論になります。現場からすれば「使えないルールを押し付けられた」としか映りません。

顧客の購買プロセスを観察し、言語化するところから始める

では、どう進めるべきでしょうか。

まず必要なのは、自社の顧客の購買プロセスを観察し、言語化することです。トップセールスが受注した案件を振り返り、顧客がどのような変化を経て購買に至ったのかを丁寧に聞き取ります。失注案件も同様に分析し、どの段階で顧客の関心が離れたのかを把握します。

次に、そこから共通するパターンを抽出し、カスタマージャーニーとして整理します。すべてのケースを包含する必要はありません。主要な顧客セグメントについて、典型的な購買プロセスを定義すればよいのです。

そのうえで、それぞれの段階で営業担当者が取得すべき情報と、行うべき活動を定義します。そして、それをSFAに落とし込みます。最初は限られたチームで試行し、フィードバックをもとに改善します。うまくいったら横展開します。

そして忘れてはならないのは、データを見て意思決定する文化を育てることです。プロセスを設計し、データが集まり始めても、それを使って議論し、改善につなげる習慣がなければ意味がありません。マネジメント層が率先してデータに基づく対話を重ねることで、組織は変わっていきます。

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顧客の購買プロセスを可視化する4つのステップ

外部の視点と専門的な知見が不可欠な理由

ここまで読んで「やるべきことは理解できた」と感じた方も多いでしょう。しかし同時に、「自分たちだけでこれを実行するのは難しい」とも感じているはずです。
なぜ難しいのでしょうか。それは、この取り組みには外部の視点と専門的な知見が不可欠だからです。自社の営業活動を客観的に分析し、他社の事例と比較しながら設計を進めるには、相応の経験が求められます。また、現場との対話を重ねながら納得感を醸成していくファシリテーションのスキルも必要になります。
さらに、多くの企業では日常業務に追われており、こうした構造的な改革に集中して取り組む余裕がありません。だからこそ、この領域に精通した専門家の力を借りることが、現実的な選択肢になります。

見るべきポイントは「営業担当者が何をしたか」ではなく「顧客がどう変化したか」

SFAを導入しても成果が変わらないのは、「営業活動のステップ」しか記録していないからです。本当に必要なのは、顧客の状態変化を可視化し、それに応じた営業活動を設計することです。
ITツールやAIは、本来業務効率を高めるための道具です。正しい営業プロセスが定まっていない状態で導入しても、効率化すべきポイントが誤っていたり、そもそも効率化できる土台が存在しなかったりします。
この認識を持つこと自体が、変化への第一歩になります。もしあなたの組織が今、「何が問題かが特定できない」と感じているなら、それは見るべき場所を誤っているだけかもしれません。営業担当者が何をしたかではなく、顧客がどう変化したかに目を向けることで、改善の糸口が見えてきます。
そして、もし「自分たちだけでは難しい」と感じたなら、それもまた正しい判断です。この領域に精通した専門家に相談してみることを、選択肢の一つとして検討してみてください。

自社の営業組織は、本来何をすべきなのか——まずは前提条件の整理から始めませんか

SFAやAIを導入する前に、本当に必要なのは「自社の営業組織をどう設計すべきか」という前提条件の整理です。

私たちは、マイナビ、DeNA、ユーザベースなどで営業マネジメントを経験し、300社以上の営業組織改革を支援してきました。その経験から断言できるのは、手段の前に、前提条件を整理することの重要性です。

60分の無料相談会で、こんなことを整理できます

  • 自社の事業フェーズ、顧客構造、商品特性の明確化
    「誰に、どのような価値を伝えるべきか」を一緒に整理します
  • 営業組織に求められる役割の定義
    現在の営業活動と、本来すべき営業活動のギャップを可視化します
  • SFA/AI導入の適切なタイミングと方法の判断
    今すぐ必要なのか、その前にすべきことがあるのか、順番を明確にします

こんな方におすすめです

- 営業強化の必要性は感じているが、何から手をつけるべきかわからない
- SFAやAIの導入を検討しているが、本当に今なのか迷っている
- これまで営業を強く意識せずとも成長してきたが、環境が変わってきた
- 営業対策を進めているが、現場が疲弊している

オンライン(Zoom等)で無料相談を承ります。まずは一度、自社の前提条件を整理することから始めませんか。

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